会社員の副業禁止は違法?就業規則の読み方と判例から見た現実【2026年版】
この記事の結論
- ●民間企業の会社員の副業を直接禁止する法律はなく、労働基準法にも副業禁止規定は存在しない
- ●ただし多くの会社の就業規則では副業を「禁止」または「許可制」にしており、違反は懲戒理由になりうる
- ●公務員は国家公務員法・地方公務員法で別ルール。判断に迷う場合は所属先と弁護士・社労士への相談が現実的
「副業禁止って法律で決まっているの?」「就業規則に禁止と書いてあるけど従う義務はある?」という疑問は、会社員の副業相談で目立つテーマです。結論を先に書くと、民間企業の会社員に対して副業を直接禁止する法律はありません。労働基準法にも副業を禁じる条文はなく、政府の方針も2018年以降は副業推進に傾いています。一方で多くの会社の就業規則には副業に関する規定があり、その内容次第では懲戒の根拠になります。本記事では法律と就業規則の関係を整理し、自分の会社の規程をどう読めばいいかを2026年6月時点の情報で解説します。
会社員の副業を禁止する法律は存在しない
就業規則で禁止される理由と、規定が持つ意味
就業規則の読み方:典型的な3タイプを見分ける
判例から見る「会社が副業を制限できる範囲」
公務員は別ルール|会社員との違いを整理する
禁止の会社で副業した場合のリスクと、現実的な進め方
よくある質問
Q. 会社員の副業を禁止する法律はありますか?
民間企業の会社員に対して副業を直接禁止する法律はありません。労働基準法をはじめ、労働関連の法律に副業禁止規定は置かれていません。憲法第22条の職業選択の自由が前提となるため、副業の可否を決めるのは会社ごとの就業規則というのが法律家の一般的な整理です。ただし公務員は国家公務員法・地方公務員法で別の制限を受けるため、民間と同列には扱えません。
Q. 就業規則で禁止されている副業をすると違法ですか?
「違法(法律違反)」ではありませんが、会社との契約違反にあたります。労働契約法第7条で就業規則は契約の一部として機能するため、就業規則違反は懲戒(口頭注意・減給・降格・解雇など)の根拠になりえます。違法性と契約違反は別の概念であり、法律で罰せられるわけではない一方、会社内の処分は受ける可能性があるという整理になります。
Q. 副業禁止の就業規則は無効にできませんか?
「禁止規定そのものが一律に無効」と判断された判例は確認されておらず、規定の合理性は事案ごとに判断されます。判例の傾向としては、本業への具体的支障・競業関係・秘密漏洩などが認められれば懲戒は有効、それらがなく労働時間外の私的活動と評価される場合は懲戒が無効と判断された例があるという整理です。「規定があるから即懲戒」でもなく「規定があっても無視できる」でもないため、個別事案の判断は弁護士・社労士への相談が現実的です。
Q. 厚労省のモデル就業規則では副業はどう扱われていますか?
厚労省が公開しているモデル就業規則は、2018年改定で副業・兼業を原則認める内容に変更されました。「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」という条文と、申請・届出制で必要に応じて制限する仕組みが組み合わされた書きぶりです。各企業はこのモデルを参考に自社の就業規則を整備しており、許可制(申請制)型の規定が増えている背景にもなっています。
Q. 副業がなぜ禁止されている会社が多いのですか?
主な理由は4点です。1つ目は職務専念義務の確保で、本業に十分な労働力が向かなくなる懸念。2つ目は秘密保持で、自社情報や顧客情報が副業先に流れるリスク。3つ目は競業避止で、競合他社への利益移転を防ぐ目的。4つ目は労務管理上の都合で、副業時間の通算や長時間労働の防止が必要になる点です。法律で禁止されているからではなく、会社側のリスク管理として規定されているという構造です。
Q. 副業を申請したら却下されました。従う必要がありますか?
就業規則が許可制であり、許可基準に基づいて判断された却下であれば、原則として従う必要があります。ただし、却下理由が不合理(例:明確な業務支障がない、競業関係もない、申請者個人への不利益扱いが疑われるなど)と感じる場合は、人事部への再確認・社内相談窓口・労働組合への相談・最終的には弁護士・社労士への相談で争う余地があります。感情的に反論する前に、申請内容と却下理由を文書で確認しておくと整理が進みやすくなります。
Q. 公務員と会社員で副業ルールは何が違いますか?
規制のレイヤーが違います。会社員は「就業規則という会社内の契約」で制限されるため、会社ごとに内容が異なります。一方、公務員は「国家公務員法・地方公務員法」という法律で営利企業への従事が原則禁止されており、許可制で例外的に認められる範囲があります。会社員は法律上は自由・契約で制限、公務員は法律で制限・許可で例外という構造の違いとして覚えておくと整理しやすくなります。詳細は公務員副業の解説記事を参照してください。
Q. 就業規則を読まずに副業を始めるとどんな問題がありますか?
後から「全面禁止だった」「同業他社禁止に抵触していた」と気付くケースで、懲戒の対象になるリスクが残ります。許可制だった場合、無申請のまま続けると規定違反として処分対象になりえます。また、住民税経由で発覚した場合に「規定を知らなかった」という説明は責任を免れる根拠になりにくいのが実務的な扱いです。副業を始める前に就業規則の副業規定を一度読み、タイプを把握してから動き出すのが現実的な順序です。
参考リンク
- 厚生労働省:副業・兼業の促進に関するガイドライン
副業・兼業を推進する国の方針と、企業向けの就業規則整備の指針
- 厚生労働省:モデル就業規則
2018年改定で副業・兼業を認める方向に修正された就業規則のひな形
- e-Gov 法令検索:労働基準法
労働基準法の条文。副業禁止規定が存在しないことを公式条文で確認できる
- e-Gov 法令検索:国家公務員法
公務員の副業制限(第103条・第104条)の根拠条文
- e-Gov 法令検索:地方公務員法
地方公務員の営利企業等従事制限(第38条)の根拠条文
