フクミツ副業コラム
確定申告・税金

サラリーマンの副業節税術|青色申告と経費活用で手取りを増やす

フクミツ編集部|2026-04-16 公開|最終更新: 2026-06-01

この記事の結論

  • 副業を事業所得として青色申告すれば最大65万円の特別控除が使える
  • 副業に必要な経費(PC・通信費・書籍・家賃の按分など)を漏れなく計上する
  • 事業所得が赤字なら本業の給与所得と損益通算でき、所得税・住民税が還付される可能性がある

副業を始めて軌道に乗ってきたら、次に重要になるのが節税です。サラリーマンの場合、本業の給与所得と副業所得を組み合わせた節税戦略が可能です。本記事では青色申告・経費活用・損益通算など、合法的に手取りを増やすための具体策を、国税庁の公式情報を元に解説します。

節税の前提:事業所得と雑所得の違い

副業所得は、内容によって「事業所得」または「雑所得」に分類されます。節税効果は事業所得のほうが圧倒的に大きいため、まずはどちらに該当するかを確認しましょう。 【事業所得】 ・継続的・反復的に行われる副業 ・営利性が認められる規模 ・帳簿(青色申告は複式簿記)を備え付けている ・社会通念上「事業」と判断される 【雑所得】 ・一時的・小規模な副業 ・事業所得の要件を満たさないもの 2022年に国税庁が発表した通達では、「年間売上300万円以下で帳簿書類の備付けがない場合は雑所得」とする目安が示されました。事業所得として申告したいなら、開業届を出して帳簿を整えることが必須です。

青色申告特別控除(最大65万円)

事業所得として申告する最大のメリットが、青色申告特別控除です。 ・55万円控除:複式簿記で帳簿を作成・申告 ・65万円控除:上記+e-Taxで電子申告 または 電子帳簿保存 ・10万円控除:簡易帳簿(白色申告に近い) 65万円控除を受けるには、e-Taxでの電子申告が必須です。会計ソフト(freeeやマネーフォワード)を使えば、複式簿記の知識がなくても自動的に対応できます。 たとえば副業所得が80万円の場合、65万円控除を使えば課税所得は15万円に圧縮できます。所得税率20%・住民税10%なら、約20万円の節税効果が見込めます。 青色申告には事前に「青色申告承認申請書」の提出が必要です。新規開業の場合は開業から2か月以内、既存の事業者は適用したい年の3月15日までに提出しましょう。

経費として計上できるもの

副業のために必要な支出は、合理的な範囲で経費に計上できます。代表的なものは以下の通りです。 【完全経費】 ・副業専用のPC、ソフトウェア ・副業専用の事務用品 ・取材費、書籍代(業務関連) ・副業先までの交通費 ・打ち合わせの飲食代(業務関連) 【按分経費(プライベートと共用)】 ・自宅家賃(在宅ワークのスペース割合) ・水道光熱費(業務時間の割合) ・通信費(インターネット、スマホ) ・自家用車(業務利用の割合) 按分の比率は「合理的な根拠」が必要です。たとえば家賃の場合、「総床面積に対する仕事スペースの割合」「使用時間の割合」など、説明できる基準を持っておきましょう。 レシート・領収書はすべて保管し、何のための支出かをメモしておくのが安全です。電子化して会計ソフトに取り込んでおくと、確定申告時に手間が省けます。

赤字の損益通算で還付を受ける

事業所得が赤字になった場合、本業の給与所得と「損益通算」できる可能性があります。 たとえば本業の給与所得が500万円、副業の事業所得が▲30万円の赤字なら、課税対象は470万円に圧縮されます。すでに源泉徴収されている所得税の一部が還付されます。 【損益通算できる条件】 ・事業所得として認められる規模・継続性がある ・帳簿を備えている ・事業の実態がある(売上ゼロが何年も続くと否認されるリスク) 【損益通算できない場合】 ・雑所得の赤字 ・趣味・道楽と判断されるもの ・売上がほぼゼロで経費だけ計上した場合 2022年の国税庁通達以降、事業所得と雑所得の区分が厳格化されているため、赤字の損益通算を狙う場合は、特に事業実態を整えることが重要です。

個人事業主向けのその他の節税手段

事業所得が大きくなってきたら、以下の制度の活用も検討しましょう。 【小規模企業共済】 ・個人事業主の退職金制度 ・掛金月1,000円〜70,000円が全額所得控除 ・年間最大84万円の所得控除 → 副業を事業として継続する場合に有効 【iDeCo(個人型確定拠出年金)】 ・掛金が全額所得控除 ・サラリーマン(企業型DCあり):月20,000円まで ・サラリーマン(企業型DCなし):月23,000円まで → 老後資産形成と節税の両立 【経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)】 ・取引先の倒産リスクへの備え ・掛金月5,000円〜200,000円が全額損金算入 ・40か月以上掛けると全額返戻 → 事業所得が大きい場合の節税策 【ふるさと納税】 ・寄付額のうち2,000円を超える部分が所得税・住民税から控除 ・副業所得が増えると控除上限額も増える どの制度が最適かは収入規模・将来計画によって異なります。年間所得が100万円を超えるようになったら、税理士への相談で具体的な節税戦略を立てるのがおすすめです。

副業をしている会社員の年末調整:何を書けばいい?

結論から言うと、年末調整では「副業の所得」自体は申告できません。年末調整は本業1社の給与に対する手続きで、副業所得の精算は確定申告で行うのが原則です。 会社から配られる「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」「保険料控除申告書」「基礎控除申告書」などは、本業の給与分について通常どおり記入します。生命保険料控除・地震保険料控除・iDeCoの掛金などは、年末調整で控除を受けても、確定申告でやり直す必要はありません(同じ控除を二重に使うことはできない、という意味です)。 ただし注意したいのは「扶養控除等申告書」を**副業先にも出してはいけない**点です。この申告書は本業1社にしか提出できず、副業先の給与は乙欄で源泉徴収される仕組みになっています。副業先がアルバイトなど給与扱いの場合は、本業の年末調整とは別に、最終的に確定申告でまとめて精算する流れが基本になります。詳しい確定申告の要否は[副業の確定申告はいくらから必要?](/article/fukugyou-kakuteishinkoku-itsu/)も参照してください。

年末調整と確定申告の違い・どちらが必要か

年末調整と確定申告は「対象範囲」が異なります。整理すると以下のとおりです。 【年末調整】 ・本業1社の給与所得についてのみ精算 ・会社が代わりに手続きしてくれる ・副業の所得は対象外 【確定申告】 ・1年間のすべての所得を合算して精算 ・本人が税務署に申告する ・副業所得(事業所得・雑所得・不動産所得など)が一定額を超える場合に必要 会社員の副業で確定申告が必要になる代表的な目安は、**給与以外の所得が年20万円を超える**ケースです(いわゆる20万円ルール)。詳細と例外は[副業の20万円ルール](/article/fukugyou-20man-rule/)で整理しています。20万円以下でも住民税の申告は別途必要になる点に注意が必要です。 つまり「年末調整さえやっておけばOK」ではなく、副業をしているなら**年末調整+確定申告の二段構え**が基本形と考えてください。自分のケースで確定申告が必要かどうか判断に迷うときは、まず[フクミツの副業診断](/shindan/)で自分の働き方タイプを整理してから、税理士の初回相談を活用するのが安全です。

住民税の納付方法を会社経由にしないコツ(普通徴収)

副業の存在が会社に伝わる経路として最も多いのが、住民税の通知です。何も指定しないと、本業の給与から副業分を含めた住民税が天引きされ、経理担当が「金額が他の社員より多い」と気づくきっかけになります。 これを避けるには、確定申告書の「住民税に関する事項」欄で、**給与所得・公的年金等以外の所得にかかる住民税の徴収方法**を「自分で納付」(=普通徴収)に丸を付けます。これにより、副業分の住民税は自宅に納付書が送られ、本業の給与天引きとは切り離されます。 注意点は3つあります。 1. 普通徴収を選べるのは原則として**事業所得・雑所得など給与以外の副業所得**のみ。副業がアルバイト(給与所得)だと、自治体によっては合算徴収しか選べないことがあります。 2. 自治体の運用によっては、希望どおりに分離されないケースもあります。心配な場合は申告後に市区町村の課税課へ電話確認するのが確実です。 3. 制度上の手続きを踏んでも、社会保険料の変動や雑談など別経路で伝わる可能性はゼロにはなりません。リスクの全体像は[副業が会社にバレない方法](/article/fukugyou-barenai/)、住民税の仕組みは[副業と住民税の関係](/article/fukugyou-juminzei/)で詳しく解説しています。

節税で気をつけたい注意点

節税は合法的な手段ですが、以下の点に注意しましょう。 1. 「節税」と「脱税」の違いを理解する 節税:法律の範囲内で税負担を減らすこと 脱税:法律に反して税負担を逃れること(違法) 2. 経費の濫用は税務調査リスク 明らかにプライベートな支出を経費計上すると、税務調査で否認されます。延滞税・加算税が発生し、結果的に大きな損失になります。 3. 帳簿の保存義務 青色申告の帳簿書類は、原則7年間保存が必要です(一部書類は5年)。電子保存も認められていますが、要件を満たす必要があります。 4. 副業の事業実態 事業所得として申告するなら、継続的な売上・営利性・事業活動の記録が必要です。赤字の損益通算狙いだけで「事業所得」を主張するのは、税務調査で否認されやすいパターンです。 税務戦略の細かい判断や個別事情の最適化については、税理士に相談するのが確実です。初回相談無料の事務所も多いため、所得が増えてきたタイミングで早めに専門家に相談しましょう。

よくある質問

Q. 副業所得がいくらから青色申告にすべき?

目安として年30万円を超えたら、青色申告のメリット(最大65万円控除)が大きくなります。所得規模が小さいうちでも、将来の事業拡大を見越して早めに開業届+青色申告承認申請書を出しておくのがおすすめです。

Q. freeeとマネーフォワードどちらが節税に有利?

節税効果はソフトウェアではなく申告内容次第です。両者とも青色申告の機能・電子申告対応は同等。UI/UXの好みで選んでください。会計知識のない初心者ならfreee、ある程度知識があるならマネーフォワードが選ばれる傾向があります。

Q. 事業所得として認めてもらうには?

開業届の提出、複式簿記の帳簿作成、継続的な売上、営利性のある活動形態がポイントです。年間売上300万円以下の場合、特に帳簿書類の備付けが重視されます(2022年国税庁通達より)。

Q. 副業で赤字を出すと本業の所得税も減る?

事業所得として認められた赤字なら、本業の給与所得と損益通算でき、所得税・住民税が還付される可能性があります。雑所得の赤字は損益通算できません。

Q. ふるさと納税の上限は副業で増える?

はい、副業で所得が増えれば控除上限額も増えます。具体的な上限は各サイトのシミュレーターで試算できます。確定申告する場合はワンストップ特例が無効になるため、寄付金控除も確定申告で申請する必要があります。

Q. 年末調整で副業の所得も一緒に申告できる?

できません。年末調整は本業1社の給与所得についてのみ精算する手続きで、副業の所得は対象外です。副業所得は別途、確定申告で精算するのが原則です。生命保険料控除やiDeCoの掛金など、年末調整で受けた控除はそのままで問題ありません。確定申告の要否を整理したい人は[フクミツの副業診断](/shindan/)で自分の働き方を棚卸ししてから進めると判断がスムーズです。

Q. 年末調整の書類は副業先にも提出する?

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は本業1社にのみ提出します。副業先がアルバイト等の給与扱いの場合、その給与は乙欄で源泉徴収され、最終的に確定申告で精算する流れになります。副業が業務委託(事業所得・雑所得)の場合は、そもそも副業先で年末調整は行われません。

Q. 副業の住民税を会社の給与から天引きされないようにできる?

確定申告書の「住民税に関する事項」欄で、給与以外の所得に対する住民税の徴収方法を「自分で納付」(普通徴収)に丸を付けることで、副業分は自宅に送られる納付書で支払えます。ただし副業がアルバイト(給与所得)の場合は自治体運用で分離できないことがあるため、申告後に市区町村の課税課へ確認すると安心です。

参考リンク

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